桂米朝の上方落語の中の婉曲法

桂米朝の上方落語の中の婉曲法

Nalti Novianti

概要

 婉曲法は具体的に聞き手が感じる不快感や困惑を少なくする目的で、あるいは話し手がそのような不都合やタブーへの抵触を避ける目的で用いられる。read more

当研究はユーモアを通じて、桂米朝が書いた上方落語の本「愛憎模様」における婉曲法を分析するものである。話の中で、その婉曲法をどのように用いられるか、どのようにユーモアに結び付けられるかを知ることが目標である。関西落語におけるユーモアは、関西人の社会や文化を背景とし、それらから多大な影響を受けている。関西、中でも大阪は昔から商人の町として知られ、商人の文化が盛んであった。そしてその商人の文化から、人との関係をよりよく、大切にするために、横社会制度を保って、ワッハ文化が生まれた。この商人文化とワッハ文化こそが関西落語の背景となったわけである。

桂米朝が書いた上方落語の本『愛憎模様』における婉曲法は、関西らしいユーモアを通じて、話を面白く表現するためである。データを分析するために、Sperber and Wilson ( 1986 )のThe Theory of Relevancyを使用し、データと背景の関西社会や文化と結びつけた。Raskin ( 1996 )によると、話の中でフレームの対立があるからこそ、サプライズが起こり、最高に面白いユーモアが出てくるということである。この理論はRoss(1998)の理論にも支持されてある。